令和2年1月
畜生往生
 今年は子年。巷では、ミッキーマウスは人気者だが、台所のマウスは嫌われ者。そんなネズミの見張り役として、5年前から飼っていた猫の名前は、極楽の「ラク」。わりと男前で穏やかで、皆に愛されていた。そんな愛猫が先般、原因不明の病気で突如他界した。ラクの最期は哀れなもので、病苦に耐えながらの旅立ちであった。今でもその様子を思い出すと、念仏がこぼれる。ペットロスの痛みとは、このような心境なのだと了解した。

 念仏を喜ぶ篤信の行者を「妙好人」と呼ぶが、そのお一人、福岡県篠栗町の荒巻くめ女(1854年~1925年)の詠んだ歌に

  わが身とて すべてのこともまゝならず たのみにするは南無阿弥陀仏

とある。彼女の晩年は天涯孤独であったといわれるが、この歌からはそのような哀愁は感じられない。自力では、自他共に救うことが出来ないと自覚して、素直に仏にすがろうではないか。そのすがるお相手が万能の仏さまなのだから、何の不安も無いとのくめ女のご教示、誠に心強いことである。

 ラクは念仏の声の中で育った猫である。その善事を尋ねて阿弥陀さまが来迎下さることを願い、念仏するばかりである。  合掌
 (住職)


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