令和2年10月 NO.312
お念仏から始まる幸せ(その3)
 
前回に引き続き、「何故、念仏で救われていくのか」「何故、念仏でなければならないのか」について考察していきます。(住職)
 浄土宗を開かれた法然上人の詠まれた歌に
   池の水 人の心に似たりけり にごりすむこと さだめなければ
とあります。弱点(煩悩)のある人の心は、池の水面のように定まり難く、時には明るく、時には暗いものなのだというお諭しです。「山の清水」のような気持ちになって、明るく正しく和やかであることが稀な私です。欲と怒りにまみれ、物事に素直になれないネガティブな私です。そんな私に対して、浄らかになれない時は無理をしなくてもよい。今のお前のままで「ナムアミダブツ」ととなえれば良いと、阿弥陀さまはお慈悲をかけてくださいました。その親心を頼りに「ナムアミダブツ」ととなえるだけで、仏さまのお慈悲の功徳を受けて、変わらぬままに何かが変わってまいります。
 過日、京都で地下鉄に乗りました。夕方の帰宅ラッシュのため、私の乗った車両は満員でした。多くの方が通路に立っています。そんな中、青年が人生の大先輩に席を譲りました。譲ってもらった女性は「おおきに」と喜んで座り、言われた青年は「どういたしまして」と笑顔でそれに答え、その様子を見ていた私は心が明るくなりました。一人の青年の善事が周りを幸せにしたのですが、車内には、青年の様な行動を起こせなかった人が多数いました。彼女に声をかける勇気が持てなかった人。会話やスマホいじりに興じて、彼女に気付かなかった人。我が身可愛さのために、気付かないふりをして「狸寝入り」をしてしまった人。皆、先天的に「良心」というものが与えられていて、出来ればあの青年の様でありたいと、心のどこかで願っています。しかし私は、時として明るく、時として暗い立場のものなので、それが上手に出来ません。そこを深く自覚をして、素直に仏さまにすがり、お念仏をとなえるのです。お念仏をとなえている私は、我が身の事もままならない、弱く愚かな立場の者ですが、その愚かな私がとなえているお念仏は、阿弥陀さまによって、すべての仏法の功徳が含められた「最も勝れた」仏道修行なのです。ですから、お念仏をとなえながら何故か人を殴りにくいし、お念仏をとなえながら何故か万引きはしにくいのです。心の暗い私が明るくなったわけではありません。邪になりがちな私が正しくなったわけでもありません。しかし、そんな私がお念仏をとなえることによって、変わらぬままに何かが変えられているのです。
 コロナウイルス感染症の影響で、東京オリンピックが来夏に延期されました。そのオリンピックの聖火の種火は、ギリシャのオリンピアで日光により採火されるそうです。勿論、太陽の光だけでは点火することは難しいので、凹面鏡を用いて日光を集め、採火されるそうです。同じように、阿弥陀さまの万物を救いたいというお慈悲の光は、太陽の光の如く全世界を照らして下さっていますが、道理の暗い私の心に、信仰の火をともすことは容易なことではありません。お慈悲の光を集める行為、即ちお念仏をとなえ続けるという仏道行為によって、火で焼かれても焼けず、水に流されても流れないような信仰の火が、私どもの心にともされます。私どもは、有り難いことに人間に生まれ、仏教に逢い、お念仏の教えを受け取ることが出来ています。すでにこの世も次の世も幸せに成るための準備は、阿弥陀さまによって整えられています。あとは私どもが、その親心を深く信じ、阿弥陀さまを慕い、お念仏に励めるかどうかです。
 私どもが日々求めている「健康・長寿・財産」が満たされることも幸せの形ですが、どこか不安な要素があります。しかし、お念仏をとなえることで与えられる幸せには、それがありません。この世も次の世も「仏さまと共にある」との信心は、いつでもどこでも私どもを安心させ、幸せにしてくれます。そんな「お念仏からはじまる幸せ」の縁に連なっている我が身を喜び、共に念仏生活を進めて参りましょう。  合掌
米一升運動のご報告
 この秋に皆さまよりご喜捨いただいた750キロ(三ヶ寺分)の「浄米」は、下記の会所に寄付をいたしました。ご協力ありがとうございました。
 ①福岡豪雨被災地(大牟田市三河地区)
 ②大分豪雨被災地(日田・九重地区)
 ③大分県内 こども食堂(三ヶ所)

蓮華寺累代墓完成
 私(恒教)は、蓮華寺第二十六代目の住職です。過去の歴代住職を祀る場所を、昔から「おたまや」と言っていました。漢字にすれば「御霊屋」だと思います。
 師父(瑞教師)が遷化して早や4ヶ月。やっとその「おたまや」が整いました。これからの住職や寺族(家族)のことを考えて、個別墓ではなく累代墓形式といたしました。この蓮華寺精舎がこれまで以上の歴史をこの地で刻んで欲しいとの願いをこめ、しっかりと造りました。資源が皆さまからの布施や香資です。
誠にありがとうございました。
境内整備事業 中間報告
 去る9月20日、第2回目の寄付金(浄財)の受付をいたしました。遠近の皆様より約400万円のご寄付をいただいております。皆さま方の厚いご支援に、心より御礼申し上げます。また集金業務につきましては、区幹事の皆さまにご加勢をいただきました。重ね重ねのご厚情に御礼申し上げます。ありがとうございました。尚、遅れております建設業者選定につきましては、現在、最終段階に入っています。決まり次第皆さまにはご報告申し上げます。
 さて、この度の事業の柱は「鐘楼堂再建」と「山門改修」でございます。どちらの工事にも「瓦葺き」の工程が含まれています。その新調瓦に、希望者を募って一筆入れてもらったらどうかとの意見が上がっています。それについても前向きに検討し、皆さまにご提案出来ればと考えております。
 皆さまからお預かりしている大切な浄財です。私共と私共のご先祖を守る菩提寺護持のために、大切に活用してまいります。今後とも、皆さまの変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げ、御礼とご報告といたします。
建設委員長 清末利勝
建設委員一同 

[HOME]