蓮華寺では、師父(先代住職)の代から、八年おきに五重相伝を開廷しています。その頻度は高い方だと思います。多数の人手と、多大な経費を要することを考えれば、及び腰になりがちな大法要でありますが、お釈迦さま(教祖)や法然上人(宗祖)の意思を継いで、師父は継続開廷に努めたのだと思います。この度の五重を開廷するにあたり、前回までなかった不安感が私の中にはありました。「恒教さん、今度の五重はいつやるんかえ」聞いて下さる方の気持ちに答えるために、師父や仏祖の意思を相伝するために「あたえられた力をもって誠実に勇気をもって精一杯働こう 使命に生きる人間となろう」とのお釈迦さまの教えに背中を押されて、開廷宣言をしたのが昨年の暮れ。初動が遅かったにもかかわらず、八十八名の皆さんが参加の意思を表して下さり、勧誡師(法話担当)の有本上人をはじめ、多数のお寺さまが、ご自坊の法務を犠牲にしてまで、当山五重の加勢をして下さいました。その皆さんのおかげをもちまして、無事に成満することが出来ました。心より感謝申し上げます。五重中に拝聴した「法話十五時間」。伝統の作法にのとってつとめた「勤行」「礼拝」「儀式」の全ては、「素直な心で仏さまにすがり、ナムアミダブツと念仏を申す」との、お釈迦さまの教えを受け取るためのものでした。この受け取ったものが色あせない様に、平素の生活のなかに、お寺の行事に参加するなかに、共に念仏を称えてまいりましょう。上掲載の写真は、師父が生まれる一ヶ月前に開廷された五重のものです。若かりし祖父、身ごもった祖母、そして皆さんの懐かしいご先祖の姿がそこにあります。戦中でありながら「誠実に精一杯に生きる」姿を拝見し、感銘を受けました。その先祖の熱意を胸に、次回の五重相伝に向けて邁進します。最後になりましたが、五重に際し、表となり影となってご援助いただきました、全ての皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。尚、五重に寄せていただいた皆さんの浄財、及びこれまでに施していただいた財施(布施)にて、今まで蓮華寺の所蔵になかった「二河白道図」「二祖対面図」「釈迦三尊図」「四句の偈」 の四軸を、五重記念として新調購入いたしました。寺宝として末永く守ってまいります。
平成30年11月6日(火)〜10日(土) 5日間
 五重相伝が間近になってまいりました。既に申込み(参加・贈五重)をいただいている方もいますし、参加の是非を悩んで(体調や仕事の都合で)下さっている方もいます。お釈迦様の言葉に「私共は、人間だけしか成しうることの出来ない『尊い使命』を持って、この世に存在している」とあります。地球上の870万種の生物中、人間として生まれることは容易なことではなく、なおかつ仏法がある時代に生まれることは、より一層難しいことです。そんな尊い縁に会えている私と知りつつも「また今度」と、人生の大事を先延ばしにしている自分がいます。その一方で「また」は無い我が身かもしれないと思っている自分もいます。一休禅師の言葉に「仏教は、障子の引き手の様なもの」とあります。障子は、引き手が無くても開けられるが、引き手を利用した方が、間違いなく開けやすい。宗教も同じであり、無くてはならないものではないが、自分の中にあった方が、喜怒哀楽の人生をスムーズに歩むことが出来る。そんなお釈迦さまの教えを、分り易く伝えて下さる禅師の言葉です。
人として 生まれきたりし 幸せを
    弥陀のみ前で じっと見つめる
 この和歌の様な心持ちで過ごす5日間。五重相伝は、お釈迦さまの言われる、人間だけしか成しうることの出来ない『尊い使命』について考え「ナムアミダブツ」と行動を起こしていく法要です。参加を悩んでいる皆さん、ご自信の心の声に耳を傾けて下さい。その声は、私だけの声では無いはずです。近くは、先立つ家族、法然さま、善導さま、遠くは、お釈迦さま、阿弥陀さまの声です。

 参加に関わるご相談ご質問は、住職までお願いします。また「いつ申し込めばいいのですか」との声も多く聞きますので、下記の要項で「五重相伝参加申込み」「贈五重申込み」の受付をします。無論、この日に都合のつかない方は、個別にお申込み下さって結構です。ただ、準備の都合がありますので、早めの申込みが助かります。
期日 9月22日(土)
場所 蓮華寺檀信徒会館(庫裡)

(遠方の方は「郵便振替用紙」でお願いします)
五重相伝とは、どんな法要ですか?
法要の法話の時間に、お念仏のみ教えをお伝えしておりますが、わずかな時間では系統だてたお話はできません。浄土宗念仏の全てを受け取っていただくためには、それなりの時間と一人一人の修業が必要です。五重相伝は、お念仏を私共に縁付けて下さった、阿弥陀さま、宗祖法然上人さまのみ教えを、十分に受け取っていただくための法要です。
「五重」とは、どんな意味があるのですか?
どのような高層ビルでも、基礎から順次築き上げていくもので、中が先、上が先ということはありません。まして中抜きなどがあっては絶対に建ちません。同じように「五重」とは、お念仏の要所を建物のように五層に分け、基礎(初重)から分かり易く説き進め、五層目(第五重)で浄土宗念仏の真髄をお伝えするものです。よって、五重相伝入行にあたって一番大事なことは「五日間」欠席なく勤めていただくことです。その為にも早くから予定を入れて万全を期して臨んでもらいたいと念じています。
南無阿弥陀仏とお称えするだけのことに、なぜ、五日間もかけなければなりませんか?
「素直な心で仏にすがりナムアミダブツと念仏する」これが、お念仏の信仰の全てです。外に何もありません。これぐらいのことなら子供でもわかります。しかし、その「わかる」が問題なのです。一言で「わかる」と言っても、「頭でわかる」「経験してわかる」「心からわかる」と、いろいろです。お念仏の教えを自らの血肉となるように「わかる」ためには、どうしてもこれだけの時間が最低限必要となります。だから入行中は、「法話」を聞法する外に「お勤め」「礼拝」「儀式作法」等があり、全身を使って念仏を心身に塗りこめていくようなことをします。仏さまよりいただいたこの人生、「よかったな」と素直に感じられますよう、切にご参加をお勧めいたします。
(住職)

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